Why "lab" STARTUPs ?

そもそもなんでスタートアップが好きになったの?

その他

ちょっと前ですが、「なんでスタートアップ好きになったの?」という質問を友人からもらいました。

というわけで、今日は「なんでスタートアップが好きになったのか」という自己紹介的な話です。

ただ、書いていたら、なんだかんだ長くなってしまい、どちらかというと私が法律家を目指してからの半生を綴ったエッセイ的なものになってしまいましたので、読み物としてお時間あるときに読んでみてくださいです。

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話は大学時代にさかのぼります。

実はもともと、検察官志望だったんです。

それで法学部を選びました。

そこから如何にしてスタートアップ×弁護士という像に近づいていくのか。

4つの転機を軸にお話しします。

第一の転機は、2010年、大学1年の冬に訪れます。

そのときの私は法律予備校などに一切行っておらず(どうも体験授業で行った予備校の雰囲気になじめなかった)、司法試験について何も分からなかった私は、法律サークルのツテをどうにかこうにかして、ロースクールを目指す人が集まるゼミがあるという情報を聞きつけました。

それが3年間お世話になる、知的財産法ディベートゼミです。

そのゼミ、特にオープンゼミなどはしていなかったのですが、話を取り付けてもらって見学させていただけることになりました。

見学に行ってみると、話に聞いていたとおり、そのゼミにはロースクールを目指す先輩がたくさんいらっしゃいました。

そんな人たちが、知的財産法(主に著作権法)の分野について熱いディベートを交わしているのです。

サンタやトナカイのコスプレをして。

ゼミってもっとお硬いイメージだったので、コスプレして大真面目にディベートしてる人たちを見てびっくりしました。

ただ、ちょうど見学したのがクリスマスの時期だったので、

「あークリスマスだしまあそういうことか、たまたま面白いことになってる時に見学できたんだな」

と思ってました。

ディベート自体とても面白かったので、このゼミを志望する前提で、年が明けてのゼミにも行ってみました。

相変わらず熱い議論。

with コスプレ。

おいおいまじでか。

毎週コスプレしてんのか。

何かの間違いかと思いましたが、どうやらそういうことらしい。

なんとこのゼミ、大真面目にコスプレして、大真面目に知財法を題材にしたディベートをするという変(←褒め言葉)なゼミだったのです。

こんな面白いゼミ、そりゃ入るしかないじゃないですか。

新規生の募集期間に突入したその日、熱い想いを書き殴った志望書を提出。

無事、先生に拾っていただくことができました。

先生は学界で大変有名な方ですので、学会に出席させていただいたり運営のお手伝いをさせていただく機会がありました。

その学会で行われる懇親会で様々な方とお話させていただく中で、弁護士の皆さんが活き活きとご自身の仕事についておしゃべりされている姿を見ているうちに、

「なんか弁護士楽しそうだな」

と思うように。

あと、弁護士(というか法曹全体)ってそれまで地味な印象だったんですが、私の行った学会に来られている弁護士の方々は良い意味でくだけているように見えて、

「弁護士カッコいい!」

となりました。

で、ちょうどその頃は、音楽業界で「CDが売れない!」「日本の音楽業界は終わった!!」などと叫ばれる時期。

もともとジャズが好きで高校ではジャズ研究会というマニアックな部活に所属していたり、著作権法についてゼミを通じて学んでいたこともあり、法律家として音楽業界に何か貢献できないかなと考えるようになりました。

もう一つ。

ゼミでは毎年、他校を招いて親善ディベートというイベントをやります。

私が所属していたゼミのフォーマットを使って同じようにディベートをやっているゼミが他大学にもあるので、その人たちを呼んでディベートしましょうという超絶楽しいイベントです。

しかも親善ディベートでは審査員として他大学の知財分野の先生や弁護士の方などがいらっしゃいます。

そこでまた幸いにも、当ゼミの代表としてディベートをやらせていただく機会がありました。

その時に審査員として来てくださっていた弁護士の先生に、「将来、弁護士になって一緒に働こう!」と書かれた名刺をいただきました。

これがとにかく嬉しかったんですね。

私は当日、直後に他の用事が控えていて、直接お話させていただくことがほとんどできなかったのですが、今でもその名刺は大切にとってあります。

そんなこんなで色々なきっかけがあり、弁護士志望に転向しました。

第二の転機は、2014年、ロースクール1年目。

高校当時の旧友が、音楽レーベルを立ち上げました。

この時代にインディーズレーベルをやるなんて傍から見たらギャンブルでしかないと思ったのと同時に、レーベル設立に込められたストーリーや発信される音楽の奥深さに心を打たれ、もしかしたらヤバイことになるかもしれないとも思いました。

レーベルを立ち上げる、というのも起業のひとつです。

しかも音楽レーベル業界はレッドオーシャン。

そこに殴り込みに行く姿勢に惚れました。

当時の私はというと、ロースクールに入ったは良いものの、周りの社会人とのギャップに劣等感を抱きながら勉強する日々を送っていました。

その劣等感からか、自分の興味ドンピシャの業界に挑むその旧友に話を聞いてみたかったのに、ついに連絡を取ることはありませんでした。

最後に話したのは、おそらく彼の心中ではすでにレーベル始動を決めていたであろう2014年3月、大学卒業のタイミング。

その後の彼は、そのレーベルを軸に新しく素晴らしい音楽の数々を世に届け、今の私では本当に手の届かないところで頑張っています。

本当にすごい。

そしてあのとき連絡しなかったチキンハートな自分を悔やんでも悔やみきれません。

この経験から、世の中を変えるのは新しいビジネスプレイヤーで、法律家としてできることはそんなに無いかもしれない。

でも、それをそばで見て支えることができたら最高に楽しいかもしれない。

そう思うようになり、ベンチャー企業・スタートアップ界隈に興味を抱くようになります。

ちょうどその頃に知財ゼミのOBの方からお声掛けいただき、ベンチャー企業・スタートアップを専門とする法律事務所でのエクスターンを経験します。

私の勝手な理由で途中で辞退することになり本当にご迷惑をおかけしましたが、そこで得た経験は今の私が抱いている弁護士像に大きな影響を与えてくださいました。

申し訳ないと同時に感謝の気持ちでいっぱいです。

第三の転機は、ロースクール卒業後の2017年。

卒業後に受けた1回目の司法試験には落ちてしまい、2回目も受け終わってなんとなく燃え尽きてしまっていた私に、高校時代から仲良くしてくれている親友2人が別々に連絡をくれました。

まず一人目は、

「新しい商品を作るんだけど、バイト代わりに手伝ってくれないか」

という相談でした。

今度、面白い企画があるんだよね、という友人の話を聞いて、「なんでもいいからやらせて!」という流れで来たこの話。

その仕事は、新しいデザインの知育玩具の制作でした。

おもちゃの仕組み自体もシンプルながらよく考えられており、とても面白い仕事で、完成した製品も素晴らしく、手伝えて良かったなと思えるものでした。

が、それからしばらくして。

「商品のウケがいいから、パクられないように何かしら権利を取得したい」

という相談を受けました。

よく確認してみると、その商品はすでに半年以上前に開催された展示会に出品されていて、ホームページにもガッツリ掲載されていました。

基本的にデザインやその物自体を保護するには意匠権や特許権を使うのですが、登録を受けるには原則として「すでに公表されていないこと」が条件になります。

上記商品は展示会やホームページに出品していたために、この登録要件を欠いてしまっていたのです。

商品の仕組みやデザインの新しさに気づいていたのに、そうした可能性を全く考えていなかったために起きた事故でした。

友人は「あ~そうか…大丈夫、アドバイスありがとう!」と言ってくれましたが、非常に申し訳ないことをしました。

ちなみに、その商品は順調に販売化に向けて動いています。

もうひとりの親友がくれた相談は、

「社内スタートアップの選考会に挑戦してるんだけど、提案するサービスの法律面がどうか分からないからアドバイスをして欲しい」

という内容でした。

私からすれば願ってもない提案でした。

二つ返事で「やらせて欲しい!」とお願いして、彼を含めたチームメンバー3人と顔を合わせることに。

サービス内容を見てみると、たしかに法律面でいくつかクリアしなければならない課題があり、それに対して結構なコストが掛かりそうということがわかりました。

真正面から今のサービスを作る案、規制にかからずかつサービスの利便性を落とさないようにする案など、いくつかのアドバイスをさせてもらううちに、正式にメンバーとして参加することになりました。

法律面に限らず、どうしたらもっと魅力的なサービスになるかを連日話し合って作り上げていき、いくつかの選考を通って最終審査 (通ったら事業化にすすめる) までこぎつけます。

「これ通ったらS-inできるぞ!お前も早く弁護士資格とってもらわないと!」なんてメンバーに言われながら挑んだ最終審査は、残念ながらもう一方のチームに負けて落ちてしまいました。

主な理由は、パートナーを見つけてこなかったこと。

純粋なサービス内容では負けていませんでした(たぶん。講評でそんなことを言われた。)が、パートナーがいる分出資するには安心という点で及びませんでした。

でも、スタートアップのプレシード~シードにあたる最初期段階に法律家的な視点で参画した経験から、

「そうか、チーム内に法律家がいたら、もっと滑らかにサービスが作れるんだな」

ということを学びました。

この辺についてもう少し。

通常、スタートアップが初期から法律家を抱えることはほとんど無いと思いますし、法務のポジションだってないと思います。

とりあえずサービスを作って、法律事務所にリーガルチェックをしてもらってS-inするのが普通なはずです。

社内スタートアップの選考会も、話によると審査に向けて動いているチームが他にもあったものの、法務のポジションで動いている人は僕一人だったそうです。

ローの授業では、「ベンチャー企業がまず欲しい士業は税理士。弁護士は士業の中でも頼られるのが最後で、資金調達するまで、ほとんどのケースで必要とされない。」と教えられました。(当時はまだ「ベンチャー?なにそれおいしいの?」状態だったので、今は授業内容も変わっていると思います。)

ただ、中には業法が厳しい規制を敷いていて、そもそもS-inするのに詳細なリーガルチェックが必要だったり、時間的資金的コストからサービス内容を変えないとS-inできない場合もあります。

最近流行りのフィンテック(広い意味)の分野はこれが顕著です。

業法の縛りが大変細かく、ちょっとでもサービスの調整を間違えると法律違反になってしまいます。

キャッシュバックをやりまくっているQR決済やIC決済のサービスも、こうした細かいバランシングの上で成り立っているんですよ。

で、こういう場合は、チーム内に法律のスペシャリストがいた方が、法律事務所を頼るにしても円滑なコミュニケーションができますし、チームでサービスを作り上げるときにも無駄な回り道をせず済みます。

とはいえ、です。

すでにスタートアップを専門にする法律事務所はいくつもあるし、社内に法律家を抱えなくてもとりあえずなんとかなるスタートアップの方が大多数かと思います。

本当に自分が思い描いているような弁護士の需要はあるんだろうか。

自分はサービスを作るのが好きなだけで、そもそも弁護士になる必要はあるんだろうか。

2回目の司法試験にも落ちていた影響か、そんな考えを持つようになっていきました。

そんな中途半端な気持ちを抱いた中で受けた3回目の司法試験、当然というべきか落ちました。

実をいうと、2018年は3回目の司法試験を受けると同時に、国家公務員試験にも手を出していたんですね。

自分としては、「国家公務員の中にも面白い仕事があるんだな。」と思って、そっちの道もあるかもしれないと思って受けたのですが…

今思うと、2回目の司法試験に受からなかったことへの焦りと、上記の通り弁護士に対するモチベーションが下がっていたことで、知らず知らずのうちに逃げていたんだと思います。(もちろん国家公務員の仕事も面白そうだと今でも思っていますが、別の道を考えたきっかけは、やはり”逃げ”以外の何物でもありません。)

当時の自分の中ではしっかり考えてのことだったので後悔はしていませんが、もし今から過去に戻れるならぶん殴ってでも自分を止めてます。

そして最後、第四の転機は、2018年10月。

3回目の司法試験にも落ちて、いよいよどうすべきか悩んでいた頃です。

当時お付き合いしていた彼女が、「何をやってもいいけれど、中途半端なことはしないで欲しい。」というようなことを言ってくれました。

(最初に「国家公務員試験も受けてみる」と言ったときにも色々と相談に乗ってくれて同じようなことを言われましたが、当時の自分は気づくことができませんでした。)

言われるまで気づかなかった私は、そこでようやく自分がどういう状態にいるかを客観的に見る機会を得ました。

”自分は何がしたいのか。”

それだけをシンプルに考えたときに残ったのは、「新しいサービスができていくのを法律家として支えていきたい」ということ。

そもそも、需要がないとか考えていた私の弁護士像にも、ちゃんと需要があるということは社内スタートアップに誘ってくれた3人がすでに教えてくれていたんです。

それが見えなくなっているだけでした。

それに、新しい商品の権利化に失敗したときのことを思い返し、

「弁護士になって経験を積めば、こういうトラブルも防げるようになるかもしれない」

とも思いました。

しかもこうした問題は、法務を持っていない若いスタートアップほど起こる可能性が高いと考えられます。

その辺をカバーできるなら最高にエキサイティングだと思いました。

それに、新しいサービスやビジネスが生まれるサイクルはどんどん早くなっていて、法整備が追いついてこない現象が見られることがあります。

また、業法に引っかかってしまい思ったようにS-inできないスタートアップもいくつかあるようです。

こうした時に、積極的にルールメイクをしたり、サービスに自然な形でリーガルチェックを落とし込んでいく(微妙な言葉のニュアンスの差ですが、しっかり法律に沿うようにサービスを組むのではイノベーションはなかなか生まれないと思っています)、新しいベンチャービジネスに理解のある戦略的な思考を持った弁護士の需要は、今後さらに増えていくものと予想しています。

需要はある。求めてくれる人もいる。これからもっと必要になる。

だったらやるしかありません。

こうして、スタートアップ×弁護士という私の目指す弁護士像は、紆余曲折を経ながらも出来上がっていったのでした。

そんな中、つい最近4回目の司法試験を受けました。

しっかり採点ができる性質の試験ではないので、結果は神のみぞ知るですが、少しでも目標に近づけるよう日々努力していきます。

<追記>
司法試験、無事に合格いたしました。皆さま、本当にありがとうございます。
<追記終わり>

その一環である当ブログは「やっぱり自分はスタートアップに関わっていきたい」と思った2018年11月から、ずっと温め続けていたものです。

この記事で私のスタートアップ×弁護士にかける気持ちが少しでも伝われば幸いですが、それは今後の研究記事で体現していくつもりです。

Twitterもやっていますので、よろしければフォローよろしくお願いいたします。

@sugataka225

ではでは、また次の記事で会いましょう!

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