今回ご紹介するのは、新世代の高級出張寿司サービス「SUSHI+」です。
寿司くいてー!!
サービス概要について
SUSHI+は、完全出張専門で高級寿司を提供するサービスです。
ケータリングで寿司が食べられます。
板前さんは、今ではお馴染みの東京寿司アカデミー卒業後、都内の名店で修行を積んだ方々。
提供するネタは、毎朝豊洲で仕入れた新鮮なものばかり。
さらに、写真映えを意識したパフォーマンスでスシにエンターテイメントをプラスして提供。
他にも板前出張サービスは数あれど、他とは一線を画するのがSUSHI+。
図解してみる
図解してみるとこんな感じ。

(※図解は、ビジネスモデル2.0図鑑でお馴染みのチャーリーさん(@tetsurokondoh)が配布してくださっている「ビジネスモデル図解ツールキット」を使用させていただいております。)
無店舗営業でコストカット
最大の特徴は、完全に無店舗・出張専門の営業形態にすることでコストカットを行い、高級寿司を比較的リーズナブルに提供している点にあります。
板前さんが出張して寿司を握ってくれるサービスってそこそこありまして、有名なところでは美登利寿司が行ったりしています。
https://www.sushinomidori.co.jp/nigiri.html
ただ、そういったサービスはほとんど「店舗を構える板前さんが出張もしてくれる」という形態です。
出張に出ている間は基本的に店を空けることになるので、店舗にかかる固定費を考えるとちょっと効率が悪い。
SUSHI+は出張サービスに特化することで、店舗運営にかかるコストを完全に0にしています。
そのおかげで、一般的に提供される寿司を4~6割安い値段で食べられる模様。

私自身は出張寿司を体験したことがないのでわかりませんが、SUSHI+では「せっかく来てもらったのにネタが微妙…」なんてことにはならないでしょう。
寿司だけでなくパフォーマンスにもこだわる
公式HPを見ると、「つい写真を撮りたくなるような演出」を心がけていると書いてあるんですよね。
ここを前面に押し出してるのがセンスいいなーと思ったところ。
基本的に飲食というのは、商材が料理であることは誰の目に見ても明らかです。
が、もう一つ重要なのが情報を売っているという点です。
例えば同じ「オムライス」を提供するんでも、メニューにただ「オムライス」と書いてあるより、「○○鶏の卵と産直トマトソースのオムライス」と書いてあったほうがなんとなく美味しそうに感じませんか。
寿司も同じで、ただ「まぐろ」と書いてあるより、「○○産まぐろ」と書いてあって、板前さんの「今日のは○○産だから他のに比べて繊細な脂が乗っていて~~」なんて話を聞きながら食べると、より美味しく感じる現象が起こります。
ちゃんとした店なら基本的になんでも美味しいじゃないですか。
そうすると、純粋に料理で差別化を図ろうとする場合には、舌の肥えた人ならわかる微妙な味の良し悪しで勝負することになります。
が、そういうのは大多数の一般客に響く要素ではありません。
もちろんそうした努力が前提ですが、しっかり「これは○○産で○○に特徴があるので○味が強くて~~」等々、受け手に対して、料理の味わい方であったり美味しさであったりといった情報を与えるのが重要だったりします。
あとは「見た目」です
見た目も情報のひとつですが、美味しそうなものをインスタにアップするという楽しみ方がノーマルな今、ここは別個に分けると上手く整理できそうです。
見た目で売ったいい例がTOTTI CANDY FACTORYのレインボーわたあめですね。
ほんとに味は普通のわたあめ(そりゃ砂糖なんで当たり前)ですが、インスタに載せたときの映えっぷりが良いということで爆発的な人気になりました。
SUSHI+もこの点を意識しているのか、見た目を重視しているようです。
寿司の場合、寿司それ自体の見た目はもちろん重要です。
インスタでも寿司の画像を載せてるのよく見ます。(寿司の見た目なんてあんま変わらないと個人的には思う)
また、職人が握っている姿も見た目要素に入ってきますね。
格好良く握っていらっしゃる職人さんのお寿司の方がなんとなく美味しそうに感じるのが不思議です。
さらに出張寿司の場合は、握った寿司がずらっと並ぶのがまた映えます。
しかもパーティ等であれば参加者同士で写真を撮ることも考えられ、その片手にSUSHI+の寿司が…というシチュエーションも十分考えられます。
こういった見た目要素を捉えてしっかりブランディングしている点に非常に好感を持ちました。
法律面を整理してみる
この形態のサービスであれば、特段配慮しなければならない箇所はそんなにありません。
基本的には一般的なサービス提供規約をベースにすれば問題ないと思われます。
ただ、予約まわりなどでケアしておくべき点があるので、少し見ておきましょう。
契約解除とキャンセルポリシー
まず考えておきたいのはキャンセルポリシーですね。
飲食店やホテルの予約などで、キャンセルした場合にキャンセル料を支払わなければならないという規約を目にしたことがある方は多いと思います。
理論的には、予約によって当事者間の契約が成立しており、キャンセルは契約解除にあたるので、その場合の損害賠償額を予定して定めたものと解される(民法420条1項)のが一般的です。
ただし、あまりに一般的な感覚からズレた損害賠償額を定めておくと、無効になるおそれがあります(消費者契約法9条各号)ので、注意が必要です。
駐車場代の処理
これは少し細かいところなのですが、出張時にコインパーキング等の有料駐車場に車を止めた場合、実費を料金とは別に請求するのかも考えておいたほうが良さそうな感じです。
都内だと駐車代高いですからね…
そもそも別立てで請求するのか、請求するとしてどの範囲で請求するのか(全額、一定額超過分のみ etc…)などは、事前に通知した上で料金に上乗せする旨を明示しておくのがベターかも知れません。
今後のサービス展開を妄想してみる
ビジネスとしては単純明快に見えるのですが、妄想してみると色々面白そうな感じがします。
このモデルをそのまま横展開する
まず思いつくのは、このビジネスモデルを横展開して他のジャンル(イタリアン、フレンチ、中華など……)に持っていくことです。
ただ、もう少し考えてみると、出張×寿司はかなりベストマッチな部類だと気づきます。
というのも、寿司はネタとシャリと皿があればOKですが、他の料理はだいたい火を使うじゃないですか。
その辺の管理が少し面倒そう(会場によってはできない、火力があって持ち運べるコンロがあまりない)なんですよね。
火を使える場所限定での出張もあり得ますが、すでにプレイヤーがそこそこいますので…。
SUSHI+は、どこでもケータリング感覚で呼べるのが強みですからねー。
そこで、フレアバーテンダーをこのモデルでやったら結構面白そうだなと思ってます。
お酒は基本のカクテルが作れるリキュールを10~20本、氷、フレアパフォーマンス用の器具と、グラスを人数×2~4つでOKです。
あとはパティシエです。
まずなにより、デザートはばっちり写真映えします。
また、スポンジなどはあらかじめ焼いておいて、会場では主にデコレーションをすれば場所の問題もありません。
横展開は簡単にはできなさそうですが、考えていくと意外な組み合わせがありそうな予感。
(電気圧力鍋を10台くらい用意して現地で調理し、できたての料理をケータリングとして提供とかも面白そう…)
第2の「SUSHI+」が出てくる可能性
もう一つ考えておきたいのは、SUSHI+の競合が出てくる可能性です。
完全無店舗・出張専門の寿司屋が出てくるかという話。
寿司を握る職人さんはハードル高そうに見えますが、すしアカデミーがある現在は意外とそうでもありません。
職人の技を盗まなければならないという幻想はとっくに崩れてます。
(というか今後10年で調理ロボットが普及して自宅でプロの料理を誰でも食べられるようになるという予測も出ているくらい。)
そうであれば、第2の「SUSHI+」が現れても不思議ではありません。
それが地域的に競合しないところ(福岡とか大阪とか)ならまだいいんですが、東京でやられたらどーすんのという。
この辺は需要がどれくらいあるか読めないのでなんとも言えないところですが、乱立状態にならない限りは大丈夫でしょうね。
そもそもスモールビジネスですし。
でも、「出張寿司ならSUSHI+」と言われるくらいに規模を広げてもらって、将来自分も使ってみたいと気軽に思えるようなサービスになってほしいなーと思います。
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今回は軽めでしたが、この辺で!
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