今回はここのところ話題のLibraです。
Facebook肝いりの暗号資産(または仮想通貨、以下「暗号資産」とします)プロジェクト。
技術レベルがめちゃくちゃ高い話なので正確な説明をするのがホント難しいのですが、今回は間違わない範囲でざっくりとした理解ができることを目標に見ていきたいと思います。
暗号資産とか仮想通貨とか何なの?電子マネーとは違うの?何がスゴいの?みたいな感じでも、読んでもらえればこの辺の疑問はざっくり理解できるの、ぜひ。
サービス概要について
暗号資産といえばBitcoinが一番有名でしょう。
なんとなくBitcoinって聞いたことあるな~という人の認識は、
・仮想通貨取引所(CoincheckやDMM Bitcoinなど)ってところで買える
・ビックカメラで使える
・個人間でも送金できる
・価格の変動が激しい
・なんかあやしい
あたりだと思います。
Facebookが肝いりで開発してきたLibraは、
・割とどこでも使えて
・割と誰にでも送金できて
・価格の変動が(ほぼ)なくて
・全くあやしくない
暗号資産として、世界に浸透する可能性を秘めています。
図解してみる
サービス構造を理解するのに色々ややこしい感じなので、まずはいつもどおり図解です。
図解してみるとこんな感じ。

これをさらに分解しながら見ていきます。
の前に、Libra自体の説明
前提として、最低限Libraって何?という知識が入っていないと混乱するので、まずこの点をおさえておきます。
Libraは暗号資産(のようなもの、後述。)ですが、Facebookもメンバーに入っている「Libra協会」という団体が発行する電子マネー的なものだと捉えておいてください。
SuicaはJR東日本が発行する電子マネーです。
LibraはLibra協会が発行する電子マネー的なものです。
まずはこの理解でOK。
どうやって使うかというと、Calibraというアプリをインストールして法定通貨をチャージして、Libraを購入するだけ。
これでLibraを手に入れることができ、UberやSpotifyの支払い、さらにFacebook Messengerでメッセージを送るのと一緒に送金できたり、InstagramのLikeと一緒に投げ銭できたりするのではないか、と予想されています。
(本稿ではCalibraの説明はこれ以上しません。)
Libra協会とLibraについて

まずは上図からです。
Libra協会とは?
Libraは、Libra協会というNPO団体が発行権限を持っています。
Libra協会は、スイスのジュネーブに本部を置く非営利団体で、Libraの発展と普及のために存在する組織です。
さまざまな大企業やメガベンチャー28社が名を連ねており、2020年前半のLibra運用開始時には100社程度まで増える見込みとのこと。
すでに参入しているメンバーは

こんな感じ。
VISA, Mastercardをはじめ、聞いたことのある企業ばっかりですね。
いままでの仮想通貨は、Bitcoinは、発案者のサトシ・ナカモト氏も実装した人も誰かわからないし、他の仮想通貨については発行元がハッキリしているものの「どこの企業ですか?」みたいな感じがほとんどでした。
それが、誰もが聞いたことのあるような企業が参加して発行しますよとすることで、暗号資産=あやしいイメージの払拭を狙っています。
利用者とLibra協会の関係~法定通貨による価値の裏付け~
次。
Libraは法定通貨による価値の裏付けがあるので、価格変動があまり発生しません。
Libraの発行フローを見ていくと分かります。
.
利用者は、Libraが欲しい場合にはLibra協会に発行のお願いをします。
(実際には利用者とLibra協会の間に仲介者として認定再販業者が入りますが、今回の説明では省略します。ちなみに認定再販業者は、数ある仮想通貨交換業者のうちLibra協会がLibra販売に適していると判断した業者のことを指すと考えられます。)
これに応じてLibra協会はLibraを発行しますが、それと引き換えに利用者から一定額の法定通貨(暗号資産業界では”Fiat”と言ったりします)を受け取ります。
受け取った法定通貨は全てLibra協会が責任をもって保持・管理し、基本的に消費することはありません。
ここで止まって考えると、発行されたLibraにはそれ相応の法定通貨による裏付けがされている状態になりますね。
一歩進めると、いつでも買ったのとだいたい同じ金額で法定通貨に戻せると信頼できます。
で、Libraでは通貨バスケット制を導入しています。
通貨バスケット制とは、
複数の外貨に連動したレートにする固定相場制のこと
https://ja.wikipedia.org/wiki/通貨バスケット制
です。
固定相場制の代表としてはドルペッグ制といって、ドルの価格に連動させる(1通貨=1ドルとする)方法がありますが、通貨バスケット制は固定の基準となる法定通貨を単一ではなく複数ミックスの形で捉える方法になります。
(当初報道ではドルペッグのステーブルコインになると予想されていましたが違いましたね。通貨バスケット制にするのはドルの影響力を弱めるためと考えられますが、真意はもう少し先のところにある気がしています。)
これで、価格変動が激しいという今までの暗号資産の難点をクリアできます。
その2に続く
ここまでは、Libraのざっくりした概要と、利用者─Libra協会の関係について見てきました。
次回は、図解でまだ説明していない部分(Libraを動かすノード(バリデーター)とLibra協会の関係)についてざっくり見たあと、日本でLibraを展開するときの法規制の話をしていきます。
その2につづく!
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