前回のつづきで、Libraを引き続き紹介していきます。
前回は、Libraの基本的な概要と、Libra協会─利用者間の関係について整理しました。
第1回の記事はこちら。
さて、今回は

この部分の解説をしていきます。
バリデーターの役割
まず、右上の部分、「バリデーター」という言葉が出てきます。

バリデーターとは、暗号資産を使った取引データの妥当性をチェックする役割をやる人のことです。
たとえば、「AさんからBさんに[10Libra]送信した」という取引データが作られた場合、その取引が本当にAとBの間で行われたのか、第三者が改ざんしていないかなどの検証を行うのがバリデーターの仕事です。
(実際に取引の中身をチェックするのではなくて、取引データから生成されるハッシュ値の計算をしたりするのですが、技術的な話は全部カットします。)
ホワイトペーパーを読むとLibraBFTという用語が出てきますね。
これは、バリデーターが行う検証作業のアルゴリズム(これをコンセンサスアルゴリズムと言ったりします)の名前です。
(ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムは技術的に中核かつ難解な分野です。いろんな暗号資産がいろんな手法を試していて、日進月歩な分野でめちゃくちゃ面白いのですが、細かい話はやっぱりカットです。「LibraBFT」っていうのは検証作業の手法のことなんだな、程度の認識があれば十分です。)
このバリデーターは、現時点では誰でもなれるわけではなく、Libra協会に認められ投資を許された企業等のみがなれます。
Libra協会とバリデーターの関係
ここで、Libra協会とバリデーターがどういう関係にあるのか整理しておく必要があります。
上記図解ではまったくの別者として表現していますが、より正確には以下の図のようになります。

Libra協会に入りたい企業等は、まずLibra協会に打診して、原則として投資を行います。
投資すると、証券として「Libra Investment Token」(LITと略します)というトークンを受け取ることができます。
LITはLibraとは別物です。LITには法定通貨による裏付けがあるわけではなく、ただLibra協会に対する投資への証券としての性質を有するに過ぎません。
で、LITを得た企業は、晴れてLibra協会の一員になることができます。
具体的には、Libra協会で行う評議会への参加・投票権を得ることができたり、Libraブロックチェーンの情報(どういう種類の取引がされているかとか、購買動向とか)が見れたりします。
それと、LITを持っている企業等はバリデーターになる権利が与えられます。
なので、基本的にLibra協会に所属する企業等はバリデーターになると考えてもらってOKです。
Libra協会の所属企業≒バリデーター
です。
Libraリザーブの運用益のはなし
次に出てくるのが投資の金銭的リターンであるLibraリザーブ運用益分配の話です。

この部分ですね。
Libraは法定通貨の裏付けがある(=Libraリザーブ)というのは第1回で見てきた内容です。
ここで、さらにLibraリザーブの中身を具体的に見てみると、USD、GBP、EUR、JPYの4種類の法定通貨の他、短期国債などによって構成されます。
つまり、Libraリザーブにはそれなりの運用益が発生することになります。
これをLibra協会が受け取って、LIT所有者に対して分配していくわけですね。
こうした金銭的なリターンも含めて、企業がバリデーターのコストを支払うことを良しとする仕組みになってます。
ちなみにLibraリザーブはLibra協会が管理することになってまして、投資運用や通貨バスケット比率などもろもろはLibra協会の評議会によって決められる仕組みです。
第3回につづく
ここまでで、Libraに関する一通りの概要はつかめたことになります。
次回は、Libraを日本で展開する場合に考えられる法律面の問題について考えてみたいと思います。
第3回につづく!
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