Why "lab" STARTUPs ?

Libraは仮想通貨の雄になるのか?(3)法律面を整理してみる

サービス
Libra公式HPより

Libraの紹介、第3回です。

前回はLibra協会とバリデーターについて見てきました。

第2回の記事はこちら。

さて、前回までで、サービスの概要はつかめたので、今回はLibraが日本でサービス展開されると考えたときの法律面の問題について検討してみたいと思います。

暗号資産関係の法律、くそむずい。

前提としてわかっていただきたいのは、暗号資産関係の法律はマジでラビリンスということです。

まず、業界と政府の議論が良い意味で活発なので、法改正が激しい分野だということ。

議論を追っていくのだけで大変です。

さらに、これに関連して、暗号資産に対する法規制に関して網羅的に解説した書籍等があまりないこと。

あったとしても情報が古かったりして今の状況にはそのままでは適用できないなど。

そして最大の問題は、法文自体がマジで難解。

たとえば、後述する「STO(Security Token Offering)/証券トークンによる資金調達」に関する改正金商法の文言はこんな感じ。

金融商品取引法2条
3.この法律において、「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるもの(次項において「取得勧誘類似行為」という。)を含む。以下「取得勧誘」という。)のうち、当該取得勧誘が第一項各号に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利、特定電子記録債権若しくは同項各号に掲げる権利(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示される場合(流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合を除く。)に限る。以下「電子記録移転権利」という。)(次項及び第六項、第二条の三第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)に係るものである場合にあっては第一号及び第二号に掲げる場合、当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(電子記録移転権利を除く。次項、第二条の三第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合に該当するものをいい、「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集 に該当しないものをいう。

黄色マーカーを引いた部分が本文で、青色マーカーのカッコ部分は本文の補足であったり定義規定であったりする部分です。(しかも青色マーカー部分も入れ子になっています。)

法律あるあるで「条文にカッコ書き多すぎて読みにくい問題」がありますが、その例の一つです。

それをおいておくとしても、条文に使われている言葉も難解で翻訳に時間を要します。

条文一個でこうなんで、暗号資産のサービス全体をリーガルチェックしていくのは果てしなく骨が折れます……

とはいえ、ちゃんと紐解いていけばある程度の検討はできるので、今回は2点に絞って法律面を見ていきたいと思います。(できるだけ平易な表現を心がけます。)

Libraについて

まずはLibraについて見ていきましょう。

Libraは「仮想通貨」なのか?

Libraが、現行法上の「仮想通貨」(改正後は「暗号資産」)に該当するのか、まず問題となります。

条文は以下。

資金決済法第2条
5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

(改正後も名称が「仮想通貨」から「暗号資産」に変わるだけで、定義内容は同じ。)

仮想通貨には1号仮想通貨と2号仮想通貨があります。

基本的には1号仮想通貨がBitcoinで、2号仮想通貨がその他のアルトコインという位置づけです。

1号仮想通貨にあたるための要件は以下の4つ。

①一般的に物を買ったりサービスの支払いに使える
②財産的価値があると一般的に認められている
③インターネットを介してやり取りできるデータである
④日本通貨・外国通貨、通貨建資産ではない

Libraは①~③を満たしていると考えられる(詳細は省く)ので、問題になるのは④です。

ここにいう「通貨建資産」にあたるのか、です。

Libraは「通貨建資産」にあたるのか

「通貨建資産」も定義規定があります。

資金決済法第2条
 この法律において「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(以下この項において「債務の履行等」という。)が行われることとされている資産をいう。この場合において、通貨建資産をもって債務の履行等が行われることとされている資産は、通貨建資産とみなす。

これじゃなんのこっちゃわかりませんが、通貨建資産として典型的なのはSuicaなどの電子マネーです。

Suicaを使うときは現金のやり取りしないですよね。

でも、コンビニとかで「○○○円」で売ってる商品を買えるじゃないですか。

要は「円建て」の取引をしているわけです。

つまり、Suicaに入っている”1円”は日本通貨の1円と同じということ。

一歩進めて、仮想通貨の中にも”ステーブルコイン”という種類の仮想通貨があります。

有名なのはUSDTというもので、これはドルペッグ制を取っているので、価格が

1ドル≒1USDT

になっています。

この場合も、USDTでの支払いは実質的に見てドルでの支払いと見ることができるので、通貨建資産に含まれるとする見解が有力です。

(参考:https://jp.cointelegraph.com/news/japanese-regulator-stablecoins-are-not-cryptocurrencies-under-current-law
(ただし、この見解もその真意は微妙なところです。USDTの現状に鑑みると、通貨建資産と整理できるかは疑問の余地ありです。)

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では、Libraはどうでしょうか。

一部報道などで、「Libraもステーブルコインである」という見解が出ています。

しかし、これは形式的な議論で、そもそも「ステーブルコイン」がどこまでを含んでいるのか、Libraの価格設定をどう認識しているのかなど、内容の正確性を欠きます。

通貨建資産の判断のポイントになるのは、円建ての取引か、または円建てと実質的に同じと見れる取引といえるかという点です。

で、上記のような記事の趣旨を「Libraは通貨バスケット制を採用しているから価格変動がほぼない」という主張ととれば、USDTと同じで通貨建資産になるはずですが……

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個人的な見解としては、通貨建資産にはあたらないだろうと考えています。

Libraは通貨バスケット制を採用しています。

USDTなどのように単一通貨に紐付いているわけではありません。

なので、通貨バスケット内の特定の通貨に換算してリブラの価値を把握しようとすると、多少の変動があるはずなんですね。

例えば、【1Libra=ドル1単位+円100単位】にする場合を考えた時に、ドル円相場の価格変動があると以下のようになります。

ご覧の通り、10円上がってる (円安/リブラ高) んですよ。

電子マネーのように完全固定じゃないんですね。

ということは、Libraでの支払いは円建ての取引でないのはもちろん、これと実質的に同じと見ることもできないと考えられます。

なので、Libraがこういう仕様であれば、通貨建資産ではないと整理されるはずです。

(※ここの部分、通貨バスケット制の理解が間違っていたらご指摘いただけますと嬉しいです。)

仮想通貨にあたる場合の規制

Libraが仮想通貨にあたるとする場合には、大きく分けて2つの規制がかかってきます。

①仮想通貨交換業の登録(資金決済法2条7項、63条の2)
②新コイン取扱の届出(承認)(同法63条の6、63条の3第1項第7号)

Libra協会は発行体で、利用者は認定再販業者とやり取りをすることになりますので、Libra協会は新しく登録が必要で、認定再販業者がすでに日本国内で取引を行っている取引所・交換所であれば②の手続きが、それぞれ必要になります。

①がスタートアップにとっては高い壁になるんですが、Libra協会の場合は金銭的にも体制的にも問題は無さそうです。

Libra Investment Token(LIT)について

次にLITです。

こっちはそもそも、日本国内で買う(投資する)人がいるか怪しいところなのでサクッとやります。

LITはLibra協会への参加権や協会による運用益分配権を表すものですので、分類としては 「STO(Security Token Offering)/証券トークンによる資金調達」 にあたります。

STOとは、企業等の所有権(=株式)をトークン、すなわち電子的情報として表した物を発行する資金調達方法です。

LibraもLITも電子情報という点では同じなんですが、取扱いが異なるということ。

で、LITの場合はLibraリザーブの運用益を受け取ることができるので、通常のファンドと同じような構造になり、 集団投資スキーム(金商法2条2項5号) にあたる可能性が高いんですね。

この場合、 原則として第二種金融商品取引業の登録が必要 (金商法28条2項1号、2条8項7号へ) です。

改正後の法律に沿って考えた場合、「電子記録移転権利」(金商法2条3項)として把握されるところ、一項有価証券(同法2条1項)と整理される。もしくは、LITに譲渡制限が掛かっていて流通性がないのであれば、内閣府令の規定によるものの、二項有価証券(同条2項)と整理される。

のいずれかになると思われます。

ただ、この辺は議論が細かい部分もあるので、あまり自信ありません…(・・;

第4回につづく!

おつかれさまでした!

これで法律面の整理はおしまいです。

いよいよ次回は最終回。

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Libraは日本に来るのか?

通貨の未来を変えるのか??

などなど、楽しい楽しい妄想のお時間です!

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